コーヒー生産の中枢を担う南米の北部にあるベネズエラ。コーヒー生産も行っておりますが国内消費が多く、海外に出回る量はまだまだ少ない貴重なコーヒーです。
そんなベネズエラコーヒーについて詳しく紹介していきます。
ベネズエラのコーヒーとは
ベネズエラ(正式名称:ベネズエラ・ボリバル共和国)は南米北部の海岸にあり、左にコロンビア、下にブラジルとコーヒーで有名な国々と隣接しています。
北側はカリブ海に面し、国土にはアンデス山脈や、エンジェル・フォールで有名なギアナ高地などを有する国です。
コーヒー豆の生産量は2019年現在で56,709トンで、世界第19位となっています※。
※世界のコーヒー豆 生産量 国別ランキング・推移(2019年)
ベネズエラのコーヒーの特徴
品種・栽培・精製方法
品種:
ベネズエラでは主にアラビカ種のコーヒー豆が生産されています。そのなかでも酸味が比較的少ない品種が栽培されています。
栽培:
主に国の西側、コロンビアの近くで栽培されています。
アンデス山脈やラコスタ山脈、そして丘陵地帯で栽培されています。栽培に必要な降水量も十分にあり、コーヒーを育てるのに非常に適した環境となっています。
精製方法:
産地にもよりますが、ウォッシュトやハニープロセスという精製方法が採用されています。
コーヒーチェリーの果実を取り除くと、粘り気のある部分があります。それを少し残したまま乾燥させるのがハニープロセスの特徴で、甘味が引き立つ精製方法といわれます。
等級
ベネズエラコーヒーはスクリーンサイズ(豆の大きさ)をもとに等級が決められています。大粒のものほど等級が高いとされており、以下のように分けられています。
等級の名称 |
豆の大きさや形状 |
---|---|
スーペリオール |
大粒 |
セグンダ |
中粒 |
テルセラ |
小粒 |
カラコル |
丸豆 |
ベネズエラのコーヒーが栽培されている主なエリア
ベネズエラのコーヒーは、アンデス山脈やラコスタ山脈の山岳地帯に集中しております。
中でも有名な産地は下記の通りです。
- カスカス
- トルヒーヨ
- タラチ
- メリダ
- マラカイ
ベネズエラのコーヒーの歴史
ベネズエラにコーヒーが持ち込まれたのは、1730年代だといわれています。
当時ベネズエラは奴隷産業が主でしたが、その代替産業として注目されたのがコーヒーやタバコ、ココアでした。
約1世紀後にはコーヒーのプランテーション農場も増え、当時は輸出国として有名だったようです。
しかし、石油産業が中心となるとコーヒー栽培は下火になっていきました。現在も、残念ながらコーヒーの生産量は年々下がっております。
2022年の予想生産量は若干上がると予想されていますが、生産を助ける肥料の供給が追いついていないこと、コーヒーの発育不足、さび病の流行など様々な壁があるため、生産量が爆発的に増えることは難しいとされています。
ですが、コーヒー栽培に対するノウハウがある国ですので、今後生産量が伸びる可能性は十分に秘められているでしょう。
ベネズエラのコーヒーの味や香り
ベネズエラコーヒーはよく「南米産のコーヒーらしくない」という表現をされます。
南米産のコーヒーというとさっぱりした味わいのものや全体的にバランスのとれた飲みやすいコーヒーが多いです。
その一方でベネズエラのコーヒーは酸味が少なく、独特な苦味がある味わいとなっています。苦味がありますが甘味も感じることができ、コクもあります。
ベネズエラのコーヒーのおすすめの焙煎・飲み方
ベネズエラコーヒーは酸味が少ないため、焙煎は中~深煎りで苦味やコクを楽しむのがおすすめです。
また、ミルクと相性がいいのでエスプレッソを抽出してラテとして飲むとベネズエラコーヒーの良さが最大限にわかるでしょう。
苦味が苦手という方でもミルクの甘みとまろやかさで和らげられるので飲みやすくなります。
ショートブレッドやビスケットなどバターを使ったお菓子と合わせるのもコクが相まって、おいしい組み合わせです。
まとめ
ベネズエラコーヒーの味わいとして、酸味や少なく特徴的な苦味があることが特徴です。
おすすめの飲み方はラテやバター系のお菓子と一緒に食べることです。
ベネズエラコーヒーはなかなか市場に出回りませんが、コーヒー好きにとってはいつか必ず飲んでみたい、と思わせてくれる、そんなコーヒーです。