コーヒーの奥深さといえば、やはり生産地や焙煎により全く異なる味わいを楽しめるところではないでしょうか。
いろいろ比べながら自分の好みを探求していくことがおもしろさでもあるのですが、やはり銘柄ひとつひとつの違いを理解することはなかなか至難の業です。
本稿は、そんな種類が豊富なコーヒー豆の中から「自分に合う銘柄」を探すための4つのポイントと、筆者がおすすめするこだわりの銘柄を10つ紹介しています。
これからちょっと本格的にコーヒーを始めたい方、コーヒー豆の違いを楽しみたい方、自分に合ったコーヒー豆を選びたい方にぜひ読んでいただきたい記事です。
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INDEX
自分に合うコーヒー豆の選び方

コーヒー豆を選ぶにあたって、
・生産地
・焙煎度
・飲み方
・鮮度
の4つを見ることが大切なポイントです。
コーヒー豆は種類が豊富でありながら、さらに焙煎度によって何通りもの風味を表現できるため、ひとつひとつ比較しながら好みを探すのはかなり大変です。
コーヒー豆は生産地や焙煎度によってある程度の特徴が決まりますので、まずはその部分を見比べながら「このコーヒーを飲んでみたい」とアタリをつけていくと見つけやすくなるかもしれません。
生産地をみる
コーヒー豆の生産地は、大きく「中南米」「アフリカ大陸周辺」「東南アジア」に分けられます。
栽培地域の標高、気温、日照量、精製方法などによって違った味わいになりますが、味の大まかな傾向はこの3つの生産地で共通点があります。
細かな産地や銘柄ごとに好みを見つけようとするとどうしても迷ってしまうので、まずは大まかな生産地で好みを探っていくことがおすすめです。
好きな味わいの生産地を見つけたら、今度はその生産地内の銘柄で比較して好みを探っていきましょう。
地域 | 味の特徴 | 主な銘柄 |
---|---|---|
中南米 | 比較的バランスのとれた味、上品な酸味と熟した果実のような甘味とコクが特徴的。 | ブラジル コロンビア グアテマラ コスタリカ ブルーマウンテン |
アフリカ大陸周辺 | コーヒー豆の原産地域。さわやかで明るい酸味とコク、花のような香りが感じられる。 | ケニア キリマンジャロ ゲイシャ モカ エチオピア |
東南アジア | 強い苦味と飲みごたえのあるコク、なめらかな口当たりが特徴。 | マンデリン ベトナム |
焙煎度をみる
焙煎は、生豆の状態のコーヒー豆を煎る(ローストする)工程のことです。同じ豆でも焙煎する度合いによって何通りもの風味を引き出せるため、焙煎度に注目するのも大きなポイントです。
焙煎の度合いは大きく3種類に分けられ、さらに細かくみると8種類に分けられます。お店によって定義が異なる場合があるので、参考程度にご紹介します。
焙煎度 | 特徴 | |
---|---|---|
浅煎り | ライト | ・はっきりとした酸味、苦味やコクはほとんど感じられない ・コーヒーらしい風味も弱く、紅茶のようにあっさりと飲める |
シナモン | ||
ミディアム | ||
中煎り | ハイ | ・酸味と苦味がちょうど同じくらいに感じられる ・コーヒー豆の風味が引き立ちやすいため、好みを探す基準としておすすめの焙煎度 |
シティ | ||
フルシティ | ||
深煎り | フレンチ | ・酸味よりも苦味が際立ち、焦げたような風味が特徴 ・アイスやエスプレッソ、ミルクと合わせる飲み方に適している |
イタリアン |
基本的に浅煎りなほど酸味が強く軽い味わい、深煎りなほど苦味が増して重い味わいになります。
コーヒー豆にこだわっているお店であれば、その豆の個性を引き出せる焙煎度で販売していることがほとんどなので、まずは気にせずおすすめの焙煎度で購入してみるのがおすすめです。
好みの銘柄が見つかったら、その銘柄で焙煎度を変えてみて自分の好みを探ってみるとよいですね。
いつもの飲み方で選ぶ
ミルクや砂糖を入れたり、アイスで飲んだりなど自分の好みの飲み方がある場合は、それに適した銘柄や焙煎度を選ぶのがおすすめです。
砂糖は酸味を中和する作用があるため、「酸味が強い、または焙煎度が浅い」コーヒー豆との相性がよいです。コナやキリマンジャロ、モカなどは砂糖とよく合うといえるでしょう。
一方でミルクは苦味を中和するため、「苦味やコクが強い、または焙煎度が深い」コーヒー豆とよく合います。マンデリンやブラジルなどがおすすめです。
アイスで飲む場合は、ホットに比べ酸味がきつく出てしまう特徴があるため、浅めの焙煎は避けて「苦味が強い、または焙煎度が深い」コーヒー豆を選ぶのがおすすめです。
新鮮な豆を選ぶ
コーヒー豆は焙煎後からどんどん酸化していき、コーヒー豆本来の風味が飛んで「イヤなすっぱさがある」味のコーヒーになってしまいます。
そのため、コーヒー豆を選ぶときは焙煎日がわかり、なるべく焙煎してから時間が経っていないものを購入することがおすすめです。
スーパーなどで販売されているコーヒー豆はいつ焙煎されたかわからず、さらに長時間店頭に並んでいる可能性があるため、酸化が進んでしまっている場合が多くあります。
酸化は光が当たることでも進んでいくため、たとえその場で挽いてくれるお店でもむき出しのディスプレイケースで量り売りをしているところは、あまり品質がよいとはいえません。
コーヒー豆本来の風味を味わうためには、注文後に焙煎してくれるお店や、コーヒー豆のパッケージに焙煎日をきちんと掲載してくれるお店が理想的です。
購入後ももちろん酸化は進んでしまうので、自宅での保存にも気をつかう必要があります。おすすめの保存方法は以下を参照ください。
おすすめのはストレート豆?ブレンド豆?

ストレートとはブラジルやコロンビアなど、単一の生産地のみのコーヒー豆のことで、ブレンドとは複数の生産地のコーヒー豆を混ぜあわせたコーヒー豆のことです。
コーヒー豆を選ぶにあたって、「ストレートの豆にするか?ブレンドの豆にするか?」は悩むポイントですが、まずはストレートの豆を選ぶことをおすすめします。
自分の好きなコーヒー豆を探すという意味では、やはりそのコーヒー豆の純粋な個性のみを味わえる方がよいですよね。
ストレートで好みの豆を見つけたら、その豆をベースに他の豆をブレンドしたものを選んでみるようにするのがおすすめです。
「シングルオリジン」とはストレートの中でも、生産者や農園名、収穫時期、精製方法などを特定した、いわば「顔の見える」コーヒー豆のことを指します。
ストレートは国や地域が同じというだけでまとめられてしまうことがあるため、より産地情報をクリアにし、農園ごとに異なる個性や経営努力を正当に評価しようとして生まれた概念です。
おすすめのコーヒー豆銘柄10選

こちらで紹介するのは、コーヒー豆専門店でネット販売されているコーヒー豆です。
コーヒー豆自体の品質の高さや焙煎技術はもちろんのこと、注文してからの焙煎、そしてすぐに配送してくれるので、簡単に、かつ鮮度の高い状態でコーヒー豆を楽しむことができるのが最大のメリットです。
ここでは、コーヒー豆の味わい・風味・個性に着目して5つのテイストに分類し、それぞれおすすめの銘柄を数種をご紹介します。
バランスの取れた味…ブラジル・ブルーマウンテン
●ブラジル

ブラジルは程よいシャープな苦味とさわやかな酸味のバランスがとれた味わいが特徴的です。クセが少なく飲みやすいことから、はじめてコーヒー豆を買う方にもおすすめできる銘柄です。
こちらで紹介する「イエローブルボン」は、その名の通り黄色い実を結ぶ希少な品種で、赤い実のコーヒー豆と比べて甘味が強く、濃厚なコクを有しています。
カシューナッツのような香りと、はっきりと残る甘味が大きな魅力です。
●ブルーマウンテン


ブルーマウンテンは上品な香りと苦味・酸味・甘味・コクのすべてが均等に調和した味わいが特徴的で、「コーヒーの王様」と呼ばれるほど高い評価を受けている銘柄です。
飲めばすぐにすっきりとした苦味と柔らかな酸味が口いっぱいに広がり、キャラメルやナッツのような香ばしいフレーバーが鼻から抜けてゆきます。後半から深く濃厚な甘味があらわれ、その余韻は長く残ります。
ブルーマウンテンの複雑な味わいを楽しむために、砂糖やミルクなどは加えずに、そのままブラックでいただくのがおすすめです。
フルーティ系…コロンビア・エチオピア・コスタリカ
●コロンビア


コロンビアは苦味と酸味のバランスが取れていてクセが少なくきりっとした味わい、木の実のような若々しさが特徴です。
なかでもこちらの「スプレモ」は最高級クラスの等級であり、フルーティな甘味と強いアロマを感じられる豆です。
栽培地であるコロンビア最北部のクリストバルコロン山はカリブ海気候の影響を強く受けているため、ブルーマウンテンのような高い香りと独特な甘味が色濃く現れています。
ミルクや砂糖との相性もよく、少し低めの温度でじっくりと抽出すれば濃厚なボディと甘味がよく感じられます。
●エチオピア

コーヒー発祥の地といわれるエチオピアで栽培されたコーヒー豆は、古くから豆の輸出に使われていた港の名前に由来する「モカ」という銘柄がつけられています。
みずみずしい果実のようなさわやかな風味、ワインやスパイスに例えられる独特な香り、チョコレートのような甘味が特徴的です。
じっくりと淹れればおだやかな酸味と甘味が引き立ち、低温でサッと淹れればまるで紅茶を飲んでいるようなスッキリとした後味を楽しむことができます。
●コスタリカ

コスタリカは柑橘系を思わせるフレーバーと、「ハニープロセス」と呼ばれる独特な精製工程により熟した果実のような濃厚な甘味と深いコクを有した味わいが特徴的です。
主要な生産地域であるタレスエリアの、標高1,850~1,980mで栽培されたこちらのコーヒー豆は、オレンジやアップルを思わせるフレーバーに、キャラメルのような甘味が印象的です。
お湯の温度は少し低めの85℃前後がおすすめです。ペーパードリップなら軽やかな口当たり、ネルドリップならとろりとした口当たりが楽しめます。ミルクとの相性もよいですよ、
フローラルな香り…グアテマラ・キリマンジャロ
●グアテマラ

グアテマラは果物のようなはっきりとした酸味とほんのりした苦味、花のような芳しい香り・甘味が印象的です。
中でもこちらは、最初にコーヒー栽培が始まったとされるアンティグアの標高1,800~1,900mの高地にある農園で栽培・収穫されたコーヒー豆です。
すっきりとして飲みやすい中にも、ビターチョコレートのようなコクと甘味があり、とても複雑で上品な味わいを楽しむことができます。
おすすめの飲み方はもちろんブラック、お湯は85℃前後の低温でサッと落とすようにするとグアテマラの個性がはっきりと出やすくなります。ミルクとの相性はあまりよくないので注意しましょう。砂糖との相性はそこそこです。
●キリマンジャロ

キリマンジャロはキレのある酸味とフルーティな甘味、軽い口当たりが特徴的です。すっきりとしていながらもしっかりとしたコクが存在感を示しており、よく「野性味あふれる味」と形容されることがあります。
豆を挽く前からはっきりと感じられる、バニラのような甘くフローラルな香りは、複雑で艶やか、色っぽいような雰囲気を想像させます。
キリマンジャロの酸味を生かすために、お湯の温度は低めの80℃前後でさっと抽出するのがおすすめです。ミルクとの相性はあまりよくないので、合わせるならば砂糖がよいですね。
酸味を楽しむ…ケニア・コナ
●ケニア

柑橘系やベリー系を思わせるさわやかで明るい酸味が特徴的です。柔らかな苦味と存在感のあるコクがとてもバランスの取れた味わいが感じられます。
凝縮されたフルーツのような風味で定評のあるニエリ地区で栽培されたこちらのコーヒー豆は、まさに「ケニアらしさ」ともいえる新鮮なみかんやシトラスといった香りと甘味、スッキリとした後味が魅力です。
ミルクや砂糖との相性もそこそこですが、やはり個性を楽しむためにブラックで飲むのが適しています。コーヒーのさわやかな酸味を楽しみたい方におすすめです。
●コナ

ハワイ島の西岸にあるコナ地区で栽培されているコナコーヒーは、ブルーマウンテン、キリマンジャロと並び「世界3大コーヒー」と呼ばれています。
はっきりとした強い酸味と短い余韻が特徴的で、フルーツのようなみずみずしさと芳醇な甘味・マイルド感は、まさに南国のトロピカルな雰囲気を感じさせます。
苦味は少ないながらもコクが十分にあるため、飲みごたえのあるコーヒーです。
お湯の温度はコナのマイルドさを生かせる、70~80℃程度がおすすめです。
苦味とコクを楽しむ…マンデリン
●マンデリン

マンデリンは強い苦味と、飲みごたえのある深いコクがある飲み口が特徴です。ハーブやシナモンに例えられる独特な香りも、マンデリンならではです。
風味を生かせる深煎りで飲まれることが多く、酸味がほとんどないのでアイスコーヒーなどにも適しています。ミルクとの相性は抜群、砂糖との相性はそこそこ。
リントン・二・フタ地区の標高1,800~1,900mの高地で栽培されたこちらのコーヒー豆は、最高級品質の「G1」の2倍ものハンドピック工程を追加し、品質にこだわった一品です。
どっしりとした深いコクと苦味の中に、ほんのりとした甘味が感じられます。マンデリンならではの味やフレーバーを楽しみたい方におすすめです。
「お試しコーヒーセット」で複数銘柄を試す

コーヒー選びに迷ったら、複数の銘柄を1度に試せる「スペシャルティコーヒーセット」を選んで飲み比べてみるのも選択肢の1つです。
少量ずつ試せるので、これからコーヒー豆の好みを見つけたい方にはもちろんのこと、コーヒー豆をもっと探求したい中~上級者の方にもおすすめです。
カフェルテ編集部が注目しているおすすめの「スペシャルティコーヒー飲み比べセット」は以下を参照にしてください。
まとめ

コーヒー豆の風味や個性は生産地によって大きく異なり、さらに言えば同じ生産地でも地域や農園によって微妙に違う味わいになります。
品質の高いコーヒー豆なら、すべて「その豆でしか味わえない」香りや味わいを楽しむことができます。
難しいことはとりあえず置いといていろいろなコーヒーを試していくことは有効ですが、「この銘柄はこんな個性があって、こんな味だった」というあなたなりの感覚は忘れないようにしてください。
奥深いコーヒー豆の世界に、あなたもぜひ踏み出してみてください。