サード・ウェーブコーヒーなどでも高い支持を受けている、ケニア産のコーヒー。
ヨーロッパ諸国では、キリマンジャロとともに人気のある高級銘柄で、日本でも多くのカフェや喫茶店でも目にすることができます。
そんなケニアコーヒーの味や香りの魅力やおすすめの飲み方についてまとめました。
ケニアコーヒーとは
コーヒーにおける「ケニア」とは、アフリカ大陸の東海岸にあるケニア共和国で栽培されたコーヒー豆全般を指します。
近年のスペシャルティコーヒーブームやサードウェーブの高まりにより、「キリマンジャロ」をはじめとしたタンザニア産のコーヒーとともに、世界中で人気のある高級ブランドです。
ケニアの周辺には、北部にコーヒー発祥の地といわれるエチオピア、西部にウガンダ、南西部にルワンダとブルンジ、そして南部にタンザニアが接しています。
どこもコーヒーの生産地として有名な国であり、辺り一帯でコーヒー栽培が盛んであることがうかがえますね。
ケニアコーヒーの特徴
ケニアコーヒーの歴史
ケニアでは、19世紀末ごろからコーヒー豆の栽培が始まったといわれており、比較的歴史の浅いコーヒー豆の生産国です。
現在ではケニアには約15万人のコーヒー農家、600万人のコーヒー産業従事者がいるといわれていますが、生産量は決して多くはなく、コーヒー産業の輸出額は輸出額全体の5%にもおよびません。
しかしケニア産コーヒーの独特な風味と、後述する徹底した品質管理が世界中から評価されており、生産量こそ少ないものの、今やコーヒーを語るには欠かせない存在となっています。
世界初の専門研究機関による管理
ケニアはコーヒー生産者が集まって世界で初めてコーヒーの研究機関(コーヒー研究財団)が設立され、古くからコーヒーの生産・加工やマーケティングについて研究されています。現在においても世界有数の研究機関として評されています。
ケニアにおいてはこの機関が定める要綱に従って、農園の管理から栽培、加工・精製、カッピング、そして格付けまですべての過程においてシステム的に管理されています。
これがケニアコーヒーの高い品質と味わいを維持しているゆえんです。
また、コーヒーに関する最先端のスキルを提供するケニアコーヒーカレッジという機関も設置されており、教育段階からコーヒーの品質管理を徹底しています。
品種
ケニアコーヒーのほとんどがアラビカ種で、なかでも「SL28、SL34、ルイル11」という品種が主力です。
SL28、SL34はアラビカ種のなかでもブルボン種をルーツとする品種で、SL28は干ばつに強く、SL34は高地栽培がしやすい品種のようです。
またルイル11は、これらの品種とカティモール種などをかけ合わせて生まれたものであり、さび病や炭疽病に強く生産効率も高いため、近年取り入れる農家も多いのだとか。
栽培
- アベテーア
- キリニヤガ
- エンブ
- ニエリ
主な栽培地域は、ケニア中部のケニア山付近の高地です。地名では上記が該当します。
ケニアコーヒーが栽培されている標高1,500m~2,000mの高山帯は昼夜の寒暖差が大きく、また年2回の雨季には潤沢な降水量が得られるため、コーヒー栽培の環境としては最適です。
収穫は9~12月、5~7月の年2回。
精製方法
水洗式(ウォッシュド)が主流で、なかには「ケニア式(ダブルウォッシュド)」と呼ばれる伝統的な方法を採っているところもあります。
ケニア式は、通常の水洗式と同様に皮むき→発酵→水洗を経たパーチメントコーヒーを、一定期間きれいな水に漬けた後に乾燥させる、ソーキングという工程を行います。
この方法で精製されたコーヒー豆は、酸味や甘味がはっきりと出やすくなり、クリーンな味わいになる傾向があるとされています。
格付け・等級
ケニアコーヒーは、コーヒー豆の大きさ(スクリーンサイズ)や形によって、以下の等級に分類されます。
等級 | 概要 |
---|---|
AA | 7.20mm以上 |
AB | 6.80mm以上 |
C | ABよりも小さい |
E | 最大サイズの豆 |
PB | コーヒーチェリー1個に対し1粒しか入っていない、希少な豆 |
TT | Cに及ばない小さい豆 |
T | 不完全なものも含めた最小の豆 |
これらの格付けは競りにかけられる際、生豆の状態から焙煎時、抽出後の品質を加味してさらに10段階に評価されます。
1が最も品質の高いコーヒー、10が最も風味の少ないコーヒーと分類されます。
日本では主に最高級品である「ケニアAA」と、2番目に高品質な「ケニアAB」が取引されています。
ケニアコーヒーの味や香り
ケニアコーヒーは全体的に風味が豊かで、柑橘系やベリー系を思わせるさわやかで明るい酸味が特徴的です。
柔らかな苦味としっかりとしたコクがとてもバランスの取れた味わいを感じることができます。
また、ケニアは焙煎度によって味が大きく変わるという特徴もあります。
ケニア独特の風味は深煎りしても消えずに残るため、焙煎度合いによって違った表情を楽しむことができます。詳しくは以下の項目で説明しています。
ケニアコーヒーにおすすめの焙煎・飲み方
ケニアは浅煎りから深煎りまで、どの焙煎度合いでも楽しむことができます。
浅煎り:柑橘系のような酸味
ハイローストからシティローストあたりまでの浅~中煎りの場合は、カシスやグレープフルーツのようなシャープな酸味がはっきりと感じられ、後味の爽やかなコーヒーになります。
酸味と上品な風味が特徴的なケニアの魅力をよく引き出せるのはこのあたりの焙煎で、サードウェーブコーヒーでは比較的浅めで淹れることが多いです。
中~深煎り:力強いコクと甘味
フルシティロースト以上では酸味が程よく抑えられ、苦味とともに力強く上品なコクと甘味があらわれてきます。
浅煎りとは違って長めの余韻が感じられ、がらりと雰囲気が変わります。
飲み方は豆の個性を楽しめるブラックがおすすめですが、深く煎ればアイスコーヒーにしたり、ミルクと合わせたりしてもおいしく飲むことができます。
通販で買えるおすすめのケニアコーヒー豆
【スターバックス】ケニア
スターバックスの店舗、またはネットショップにて取り扱いがあります。
ミディアムローストに仕上げられており、グレープフルーツやブラックカラントの風味に、鮮やかでジューシーな酸味が重なるエキゾチックな味わいが特徴です。
明るくて、すっきりとしたコーヒーです。
豆の挽き方 | 豆のまま |
---|---|
内容量 | 250g |
【カルディ】ケニア
カルディも店頭、またはネットショップにてケニアを購入可能です。
華やかな風味、フルーツトマトやシトラス、多様なドライフルーツが濃縮されたようなまろやかな甘みが特徴です。
豆の挽き方(選択可) | 豆のまま 粗挽き 中挽き 細挽き 極細挽き |
---|---|
内容量(選択可) | 200g単位~ |
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特徴的な酸味を楽しむ
コーヒー豆の持つ純粋な味わいを重要視するスペシャルティコーヒー志向が高まった現在において、ケニアコーヒーは欠かせない存在です。
品質の高いケニアならば、嫌みのない爽やかな酸味を感じることができます。コーヒーの酸味が好きな方はもちろん、苦手な方にもぜひ試していただきたい銘柄です。