パナマのコーヒー、といわれてピンとくる方は少ないかもしれません。
かつてはあまり注目を浴びることがなかった産地ですが、現在では世界的に有名なコーヒー豆として知られるほどに大きく成長しました。
パナマ産のコーヒーの特徴や味・香り、歴史、おすすめの飲み方について、詳しくご紹介していきます。
中央アメリカのコーヒー生産地情報 | ||
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グアテマラ | ブルーマウンテン (ジャマイカ) |
コスタリカ |
エルサルバドル | ニカラグア | ホンジュラス |
キューバ | ハイチ | パナマ |
パナマのコーヒーとは
パナマ(正式名称:パナマ共和国)は、北アメリカと南アメリカを繋ぐ中央アメリカに位置する国家です。
北はキューバやジャマイカを抱えるカリブ海、西はコスタリカ、東はコロンビアに接しています。
パナマといえば「パナマ運河」が有名ですが、そのほかにも鉱業、観光業、不動産開発なども主要産業となっており、経済的に大きな成長を見せている国です。
国土の8割は山脈と丘稜が広がった山岳地帯であり、残る2割は熱帯雨林が広がっています。気候は熱帯性で、火山灰性の肥沃な土壌を有し、コーヒー栽培に適した環境となっています。
また中央アメリカにはパナマ以外にもホンジュラス、グアテマラ、ニカラグアなどコーヒー生産国として有名な国がいくつか存在します。
どの国もコーヒー栽培に適した山岳地帯と寒暖差を兼ね備えており、「味と香りの豊かさ」に定評がある個性豊かなコーヒーが収穫されています。
パナマのコーヒーの特徴
品種・栽培・精製方法
品種:
パナマでは主にアラビカ種とロブスタ種が栽培されています。
その8割は病気に強いアラビカ種で占めており、残り2割はロブスタ種です。
アラビカ種はパナマの標高の高い山岳地帯で栽培され、ロブスタ種は低地で栽培されている特徴があります。
栽培:
パナマコーヒーは小中規模農園によって栽培されています。
農薬を使わず、丁寧にコーヒーチェリーを手で摘む栽培方法のため、欠陥が少なく高品質なコーヒー豆が生産されます。
また、パナマでは従業員に対してのしっかりとした賃金の給付がされているなど、他の一部のコーヒー生産国に比べて農園の労働環境が整っている特徴があります。
精製方法:
コーヒー豆の精製では、主にパナマ特有の乾季と雨季がはっきりと別れている気候から、コーヒー農家の多くが乾燥式(ナチュラル)を採用しています。
丁寧に収穫されたコーヒーチェリーを天日干しによって乾燥させ、その後脱穀してコーヒーの生豆を取り出すという流れとなっています。
乾燥式は、コーヒー豆本来の旨味や甘さを引き出す精製方法として知られています。
等級・グレード
等級・グレード | 条件 |
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SHB(ストリクトリー・ハード・ビーン) | 標高1,350m以上 |
HB(ハード・ビーン) | 標高1,050m〜1,350mの間 |
ESW(エクストラ・プライム・ウォッシュド) | 標高900m〜1,050mの間 |
パナマのコーヒー豆は、栽培されている標高の高さでランク分けがされています。産地の標高が高いほど上質で高級なコーヒー豆として評価されます。
パナマでは3段階によるコーヒー豆のランク付けですが、グアテマラでは7段階でのランク付けがされているなど、同じ中央アメリカでも地域によって等級分けに違いがあるようです。
パナマのコーヒーが栽培されている主なエリア
パナマのコーヒー豆の主な栽培エリアは以下の通りです。
- ボケテ地区
- ボルカン・カンデラ地区
- レナシメント地区
いずれもコスタリカ国境付近に存在する、バル火山の周辺に位置しています。火山地帯のため土壌環境も良く高品質なコーヒーの生産に適しているようです。
パナマのコーヒーの歴史
パナマのコーヒーの始まりは19世紀、ヨーロッパからの移民がパナマの西側ボケテという地区にコーヒーの苗木を移植させたことが由来とされています。
この頃すでに周辺国でコーヒー栽培が活発となっており、遅出のパナマコーヒーは周辺国の生産量に追いつけず。またコーヒー豆自体の質も劣っていたため、あまり注目されることはありませんでした。
しかし2004年、ベスト・オブ・パナマというコーヒーの国際品評会でパナマ・エスメラルダ農園の「ゲイシャ」が破格の金額で落札され、パナマコーヒーが一躍注目されることになります。
独特の味わいやコーヒーとは思えないほどの芳醇な香りを持つこのコーヒーは、国内や中央アメリカだけにとどまらず、世界中から絶賛されるほど一流のコーヒー豆として人気になりました。
現在のパナマではゲイシャ以外にも品質の良いコーヒー豆がいくつも栽培されており、以前にも増してコーヒー生産が活発に行われているようです。
輸出品目の中でもコーヒー豆の割合が多くなってきており、工業や観光業と同じくパナマの経済に大きく貢献しているといえるでしょう。
パナマのコーヒーの味や香り
パナマのコーヒーは、柑橘系のような甘さを感じるフルーティーな香りがあり、非常に繊細ですっきりとした味わいが特徴です。
酸味と苦味のバランスもよく、飲みやすいコーヒーとしても知られています。
またパナマを代表する世界的に人気な「ゲイシャ」と呼ばれるコーヒー豆があります。
このコーヒー豆は「コーヒーよりも紅茶に近い」と言わしめるほどのフルーティーさが特徴であり、一口飲めばそのみずみずしさにきっと驚きを隠せないはず。
さらには言葉では表現が難しいとされる独特な風味も魅力の1つとされているため、高価ではありますが味わってみる価値のある品物です。
パナマのコーヒーのおすすめの焙煎・飲み方
パナマのコーヒーのおすすめの焙煎度合いは、浅煎りです。
浅く煎ることで、パナマコーヒー本来のフルーティーさを損なわず、よりコーヒー豆本来のフルーティーな甘味と酸味を際立たせることができます。
よりおいしく飲む方法として、ペーパードリップがおすすめです。
より優しくマイルドな味わいのコーヒーになるため、苦味が得意ではない方にも飲みやすい抽出方法です。
そろえる器具も安価でご家庭でも扱いやすいので、これからコーヒーを始めたい方にもおすすめできる飲み方です。
パナマのコーヒーを試してみる
パナマ エスメラルダ農園 ゲイシャ
紅茶を思わせるほどのフルーティーな味わいが特徴の、パナマ ゲイシャ。2004年の国際品評会で一躍有名となった農園、エスメラルダ農園のロットです。
非常に華やかな香りをもつコーヒー豆で、コーヒーというよりはアールグレイ紅茶に近いとのこと。
すっきりとした甘味のある、世界最高峰のコーヒー豆です。
豆の挽き方 (選択可) |
豆のまま、中挽き |
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内容量 (選択可) |
100g |
パナマ チリキナチュラル
チリキ県ボケテ地区・フルトゥンゴ農園で栽培されたコーヒー豆です。
ドライフルーツのような甘味、ワインを思わせる芳醇な香り、澄んだクリーンな飲み口が特徴です。
パナマコーヒーをリーズナブルに手に入れたい方におすすめです。
まとめ
- 柑橘系のようなフルーティーさを感じる香り
- 繊細ですっきりとした、バランスのよい味わい
- 浅煎り・ペーパードリップがおすすめ
パナマはコーヒー栽培に適した環境から、おいしいコーヒー豆を生産しています。
世界的に有名なゲイシャはもちろん、それ以外にも魅力的なコーヒーがパナマにはあるので、気になった方はぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。
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